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2019年 年末調整

早いもので、令和元年も残り1ヶ月です。

毎年のことですが、この時期は「年末調整」が大きな税務手続きになります。

 

2018年は配偶者控除の大きな改正があり、大変だった記憶が残っています。

今回は年末調整の業務を整理して紹介します。

 

◆年末調整の目的

目的は「1年間の正確な所得税額を計算、精算すること」です。

毎月の給与から天引きしてきた所得税は概算金額です。

1年間の正確な所得税を照合し、その差額を精算することが目的になります。

 

◆年末調整の対象者

年末まで勤務している全ての従業員が対象となります。

正社員に限らず、アルバイトなど時間給の方なども含みます。

 

ただし、以下のいずれかに該当する従業員は、対象外になります。

・年収2,000万円以上

・災害被害による災害減免で所得税の支払い猶予や還付をすでに受けている

・副業等で2ヶ所以上からの収入があり、他の給与支払者に扶養控除等申告書を提出している

・非居住者

・日雇い労働者など、継続して雇用していない等

 

◆年末調整の必要書類

従業員から提出された書類の記入間違い・未記入、認識の違いからの提出自体がないということが例年あるようです。

年末調整では以下の書類が必要になります。

 

-必ず提出が必要な書類-

 

◆給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

配偶者控除や扶養控除、障害者(特別障害者) 控除 、寡婦控除、寡夫控除などの各種の人的控除を受けるために必要な書類です。

扶養親族がいない場合も「いない」という申告が必要になります。

 

正社員、パート、アルバイトの方も提出が必要です。

もちろん学生も必要です。

 

ただし、同時に複数箇所で給与を得ている場合、いずれか1ヶ所にしか提出できません。

このような場合は、メインで働いている事業所へ提出することがほとんどです。

したがって、副業で働いている事業所への提出はできません。

 

-該当者のみ提出が必要な書類-

 

◆給与所得者の保険料控除申告書

→生命保険料控除、地震保険控除、確定拠出年金(iDeCo)等がある場合

申告書は次の4つの区分に分かれています。

①生命保険料控除、②地震保険料控除、③社会保険料控除、④小規模企業共済

生命保険や地震保険は、各保険会社等からの控除証明書が必要です。

また、最近利用者が増えてきた確定拠出年金(iDeCo)も、所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象です。

 

◆給与所得者の配偶者控除等申告書

→配偶者控除(配偶者特別控除)を受けられる場合

本人と配偶者の所得金額に応じて、配偶者控除(配偶者特別控除)の控除の金額を計算する書類です。

2018年(平成30年)改正により、本人と配偶者の所得金額 をマトリックス表に当てはめて控除額を算出します。

 

◆住宅ローン控除関係

→住宅ローン控除を受けられる場合

住宅ローン控除2年目以降の対象者は、下記の書類も必要になります。

・給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

 

そして、上記の書類と賃金台帳等をもとに、各従業員の1年間の正確な所得税額を計算、精算します。

2019年の年末調整では、昨年と大きな変更はありません。

比較的やりやすい年なのではないでしょうか。

 

参照:国税庁HP, 年末調整がよくわかるページ

http://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/index.htm

 

なお、2020年からは制度の改正があり、注意すべき点が多々あります。

制度改正については、また別の機会にお伝えしようと思います。

 

執筆:渡辺

相続した空き家を売った時の特例

親が住んでいた家を相続したものの、空き家のまま放置する問題が多くなっています。

 

空き家にしていも固定資産税などの維持費がかかり続けます。

 

売却が賃貸かを考える際には税金についても考慮する必要があります。

 

税金面で利点が多いのは売却です。

空き家を売ると、利益から最高3,000万円を控除できる特例があります。

 

特例の対象になる主な要件は下記です。

 

・亡くなる直前まで親が1人で住んでいた家であること

※2019年4月から老人ホームに入居するなどして住んでいなかった家についても、特別控除が使えるようになりました。

(要介護認定など別の条件があります)

 

・昭和56年5月31日以前に建築された家で、マンションなどの区分所有物件ではないこと

・解体するか耐震リフォームすること

・相続の時から売却までの間、貸付、居住の用に供していないこと

・亡くなった日から3年たった年の年末までに売却すること

・売却代金が1億円以下であること

 

相続した家の売却を考えるなら、まずはこの3,000万円控除の対象になるかを確認しましょう。

 

売却にはもう一つ「取得費加算」の特例があります。

 

相続した家を相続税の申告期限の翌日から3年以内に売却すると、相続税額の一部が取得費に加算されて利益が減らせます。

ただし、この特例は相続税を納めた人が対象になります。

また、3,000万円控除の特例とは併用できません。

 

どちらも選べる場合には、3,000万円控除の方が有利になるケースが多いです。

例外は、相続税額が高額なケースです。

マンションや売却価格1億円超の戸建てなど、3,000万円控除の対象外でも、取得費加算特例は使える可能性があります。

 

空き家を手放したくないなら、他人に賃貸するのも選択肢です。

相続前に賃貸に出せば相続税を計算する基となる土地や建物の評価額を下げられることがあります。

空き家が戸建てかマンションか、相続税がかかるか否かなどで利用できる特例が異なります。

自分の事情に合う方法を早めに調べて対策しましょう。

(執筆:古舘)

適格請求書等保存方式の導入

いよいよ消費税率10%となりました。

10月より、旧税率8%、軽減税率8%、新税率10%と複数税率になるため、仕入税額控除の要件が今後4年の準備期間を経て大きく変わります。

これからの消費税の仕入税額控除の変更点・スケジュールについてまとめました。

 

 

消費税の計算は、原則課税の場合、預かった消費税(売上)から支払った消費税(経費)を差し引いた差額が納税額・還付額となります。

 

この支払った消費税(経費)が仕入税額控除であり、仕入税額控除として認められるには、計算の基となる請求書、レシートなど(以下請求書等)の保存方法に要件があります。

この保存方法が段階的に大きく変わります。

 

【1.請求書等保存方式(2019年9月30日まで)】

 

今までの消費税の仕入税額控除の要件は仕入の事実を記載した「帳簿又は請求書等」の保存でした。請求書等の記載事項は下記の①~⑤になります。

課税資産の譲渡等を行う事業者は請求書等を発行する義務がありませんでした。

 

【2.区分記載請求書等保存方式(2019年10月~2023年9月まで)】

 

区分記載請求書等保存方式は、「1.請求書等保存方式」に帳簿及び請求書等の記載事項が追加になりました。追加事項以外は、従来の請求書等保存方式と変わりません。

引き続き、課税資産の譲渡等を行う事業者は請求書等を発行する義務がありません。

 

≪2019年10月以降の記載事項の変更点≫

 

※⑤は、小売業、飲食店業、写真業及び旅行業、タクシー業、駐車場業など不特定かつ多数の者に資産の譲渡を行う場合は省略できます。

 

※一回の取引金額が3万円未満(税込)の場合、請求書等の交付を受けなかったことにやむを得ない理由がある場合及び特定仕入に係るものである場合には、請求書の保存がなくても仕入税額控除を適用することができます。

 

≪区分記載請求書等保存方式による請求書の記載例≫


 

仕入税額控除をするためには、

「③軽減税率の対象品目である場合はその旨」、

「④税率ごとに合計した対価の額(税込)」を追加した請求書等が必要になりますが、もし、これらの記載がない請求書等を受け取ったからといって仕入税額控除ができないわけではありません。

事業者に請求書等を発行する義務はありませんので、再請求する必要はありません。

 

追加の③④のみ請求書の交付を受けた事業者で追記することが認められています。

 

【3.適格請求書等保存方式『インボイス制度』(2023年10月~)】

 

4年後の2023年10月に適格請求書等保存方式になると、仕入税額控除の要件が非常に厳しくなります。

仕入税額控除を行うためには、適格請求書発行事業者が発行した適格請求書等の保存が要件になります。

適格請求書等以外の請求書では仕入税額控除を受ける事ができません。

 

そのため、課税資産の譲渡等を行う課税事業者は適格請求書等を発行する義務があります。

どの事業者も適格請求書発行事業者になることができます。

 

・消費税の課税事業者であること

・税務署に登録申請を行うこと

※登録は2021年10月1日より受付開始

 

上記2点が要件です。免税事業者のままでは適格請求書発行事業者になることができません。

免税事業者は、課税事業者を選択して登録申請する必要があります。

 

≪2023年10月以降の記載事項の変更点≫


 

≪適格請求書等保存方式による請求書の記載例≫


 

消費税と関係ない免税事業者は直接影響がないようにも思えるインボイス制度ですが、適格請求書発行事業者の登録をしていない事業者の請求書等は、請求書が税込であっても仕入税額控除から除外となります。

 

免税事業者の中で、主に消費者との取引をしている場合は大きな影響はないかもしれませんが、企業や課税事業主との取引が多い免税事業者はとくに注意が必要です。

 

どの企業も、仕入税額控除ができる適格請求書発行事業者との取引を望み、取引先の見直しなどが予想されます。

 

今まで通りの取引を継続することが難しくなり、企業との取引が多い免税事業者は消費税分を値引きするか、課税事業者になるか、事業を縮小するかなどの選択が必要になってきます。

 

インボイス制度も2023年10月から当分の間は経過措置が取られる予定です。

適格請求書発行事業者でなくても、2023年10月~2026年9月までは仕入額の80%、2026年10月~2029年9月までは仕入額の50%は仕入税額控除ができるようになっています。

 

【まとめ】

 

消費税の請求書等の保存方法の変更点、今後のスケジュールについてまとめました。

消費税の増税に伴い、軽減税率をはじめ補助金、キャシュレス・ポイント還元、プレミアム付き商品券など様々な対策が注目を集めていました。

その中で『インボイス制度』という課税事業者だけでなく免税事業者にもかかわってくる大きな変更が予定されています。

2023年10月の実施まで4年間の準備期間があります。

制度実施の状況を確認しつつ、必要な対策を進めていくことがインボイス制度実施後も事業を滞りなく進めていくことに重要ではないかと思います。

 

(執筆:小林)

キャッシュレス・消費者還元事業

政府が、消費税率引上げに伴い「キャッシュレス・消費者還元事業」行う予定です。

その仕組みや対象となる中小・小規模事業者などをまとめてみました。

なお、経済産業省のHP(4月12日(金)時点)を参考にしています。

https://cashless.go.jp/
https://cashless.go.jp/assets/doc/gaiyou_cashless_kessai.pdf


消費税還元の仕組みは、上記の図の通りになります。

 

対象事業者が、店舗の募集及び登録が必要です。

◆対象期間
2019年10月1日から2020年6月までの9ヶ月間


◆対象事業者
中小・小規模事業者

業種 中小・小規模事業者(いずれかを満たす)
資本金又は出資の総額 常時使用する従業員の数
製造業その他 3億円以下      300人以下     
卸売業 1億円以下      100人以下     
小売業 5千万円以下      50人以下     
サービス業 5千万円以下      100人以下     

注1)旅館業は資本金5千万円以下又従員員 200 人以下

注2)ソフトウェア業・情報処理サービス業は資本金 3億円以下又は従業員 300 人以下
注3)事業協同組合、商工組合等の中小企業団体、農業協同組合、消費生活協同組合等の各種組合は補助の対象
注4)一般社団法人・財団法人、公益社団法人・財団法人、特定非営利活動法人は、その主たる業種に記載の中小・小規模事業者と同一の従業員規模以下である場合、補助の対象

出所:経済産業省HPから筆者が編集


◆対象となるキャッシュレス決済の手段
・クレジットカード
・電子マネー
・QRコード
・モバイル決済など


◆対象外となる事業者
国/地方公共団体、公共法人
金融商品取引業者/金融機関/信用協同組合
保険会社
仮想通貨交換業者
保険医療機関/介護サービス事業者/社会福祉事業
学校/専修学校
宗教法人
法人格のない任意団体


また、認可を受けていなかったり料金の明示がなされていなかったりする風俗営業や、暴対法に抵触する暴力団に関連する事業、補助を受けるにはふさわしくないと見なされた事業なども対象からは除外されます。


◆補助の対象外となる取引
補助の対象となる事業者であっても、一部対象外となる取引もあります。


有価証券/郵便切手/印紙
商品券/プリペイドカード
自動車(新車/中古車)の販売
住宅(新築)の販売
宝くじなどの公営ギャンブル
給与/賞与


◆まとめ
キャッシュレス・消費者還元事業は、増税による消費の冷え込みを緩和することが期待されているようです。
こちらの効果は個人的には疑問ですが、キャッシュレス化は進むように思えます。
対象事業者はキャッシュレス化の波に乗り遅れないように、対応することが必要になるかもしれません。


(筆者:渡辺)

遺産分割協議前の預金引き出し

7月から相続法が大きく変わっています。

その一つが、故人の預金を相続人が必要に応じて引き出しできる仕組みです。

遺言書を残さずに亡くなった場合、故人の財産は相続人による共有の扱いになります。

分けるためには相続人全員で話し合って方法を決める「遺産分割協議」が必要です。

しかしその協議は、相続人が離れて暮らしていたり、財産債務の特定に時間がかかるのが通常です。

その間、生前の入院代や葬儀代などの支払いは相続人が自分の預金から立て替えて支払いをするケースが多かったです。

 

そこで始まるのが仮払制度です。

 

分割協議の最中であっても他の相続人の了解なしで一定額まで口座から引き出せるようになります。

その額は相続人1人当たり「預金額の3分の1×法定相続割合」です。

例えば預金額が600万円で相続人が配偶者と子供1人の場合。

法定相続割合はそれぞれ2分の1なので引き出し可能額は100万円です。

 

1つの金融機関で引き出せる金額には150万円という上限がありますが、戸籍謄本などを提出すれば金融機関は応じることになります。

 

この制度には注意点があります。

 

預金は引き出した後もあくまで相続人共有の財産であることです。

分割協議の結果、ある相続人の取り分がすでに引き出した金額より少なかった場合。

その取りすぎてしまった金額は他の相続人に渡す必要があります。

(執筆:古舘)

消費税の経過措置

7月になり、消費税の10%への増税まであと3か月となりました。

今回増税になると、消費税率3%からスタートした消費税も3回目の税率引上げとなります。

 

なかなか納得できない人は大勢いらっしゃると思いますが、消費税の増税時には、『消費税の経過措置』という消費税率の引上げをスムーズに行うためのルールがあります。

今回は『消費税の経過措置』についてまとめました。

 

消費税の課税は、資産の譲渡や貸付け、役務の提供が行われた時に有効な消費税の税率が適用されます。

つまり、2019年10月1日以後に行われる資産の譲渡や貸付け、役務の提供は新税率の10%になり、2019年9月30日以前に行われる取引は、旧税率の8%が適用されます。

 

しかし、このルールでは一部の取引で不都合が生じる可能性があるため、一部の取引については、10月1日以後も引き続き旧税率の8%の適用を認める必要があります。

そのルールが『消費税の経過措置』です。

【消費税の経過措置が適用される具体的な取引】

次の取引は旧税率8%が適用となります。

(軽減税率対象の資産の譲渡は除きます。)

①旅客運賃、映画館等の入場券の料金

旅客運賃、映画館等の入場料金で、2014年4月1日~2019年9月30日までに購入した前売券等で、2019年10月1日以降に資産の譲渡等を行う場合の当該対価

②電気・ガス・水道・電話・灯油の料金

→2019年10月1日前より契約をしている電気・ガス・水道などの料金で、2019年10月31日までに料金が確定する当該確定した料金

③工事や製造、ソフトウエア等の請負契約

→2013年10月1日(以下「前回指定日」)から2019年4月1日(以下「指定日」)の前日までに契約した工事等の請負契約で2019年10月1日以後に行う資産の譲渡等の対価

④賃貸借契約やリース契約

前回指定日から指定日の前日までの間に締結した資産の貸付けに係る契約(一定の要件に該当するものに限る)で、2019年10月1日以前から同日以後引き続き資産の貸付けを行っている場合の資産の譲渡等の対価

⑤冠婚葬祭に関するサービスの料金

前回指定日から指定日の前日までの間に締結した役務提供に係る契約で冠婚葬祭の役務提供の時期などあらかじめ定めることができないもので、当該役務の提供に先立って対価の全部又は一部が分割で支払われる契約に基づき、2019年10月1日以後に行う資産の譲渡等の対価

(指定日以後に、役務の提供の対価の額に変更が行われた場合は除きます。)

⑥書籍や物品の予約販売に関する料金

指定日前に締結した定期的に継続販売する書籍等で当該契約に定められた当該譲渡に係る対価の全部または一部を2019年10月1日前に支払っている場合において、同日以後に行う場合の当該書籍等譲渡の対価のうち領収した対価

⑦特定新聞の販売取引

週刊、月刊等の定期発行される新聞で、発行者が発売する日を2019年10月1日前に指定しているものを同日以後に譲渡する場合の当該新聞の譲渡の対価

⑧通信販売による取引

→通信販売等で指定日前に販売価格等の条件を提示し、郵便、電話等の方法により2019年10月1日前に売買契約の申込を受けた場合の同日以後に商品を販売する場合の当該商品の対価

⑨有料老人ホームに関する介護サービスの取引

→前回指定日から指定日の前日までの間に締結した有料老人ホームに係る終身入居契約で入居期間中の介護に係る役務提供の対価が入居の際に一時金として支払われ、かつ、当該一時金につき当該有料老人ホームを運営する事業者が事情の変更等の理由によりその額の変更を求める事ができる旨の定めがないもので、2019年10月1日前から同日以後引き続き当該契約に係る資産の譲渡等を行っている場合、同日以後に行う一時金に対応する部分の役務の提供の対価

⑩家電リサイクルの再商品化に関する取引

家電リサイクル法に規定する製造業者等が、家電リサイクル法に規定する特定家庭用機器廃棄物の再商品化等に係る対価を2019年9月30日以前に領収している場合で、当該対価の領収に係る再商品化等を2019年10月1日以後に行う場合における譲渡の対価

【まとめ】

消費税の増税にあわせて、契約と資産の譲渡等に期間のズレがある取引は『消費税の経過措置』が設けられています。『消費税の経過措置』に該当する取引は旧税率の8%が適用されます。

経営者、消費者のどちらの立場にいても、関係してくる経過措置の取引があります。自社の取引に、経過措置に該当するものがないかどうか一度確認して、消費税の請求を間違いないように準備しておく必要があります。

(執筆:小林)

ふるさと納税の規制

地方税の改正に伴い、2019年6月1日から「ふるさと納税」の制度に規制が入りました。

規制に反発する声も少なからずあるようです。

今回はふるさと納税の本来の目的から、規制に至ったまでの背景をまとめてみました。

 

◆ふるさと納税制度の目的・背景

地方で生まれ育った方が就職し、都会に暮らすようになると、住んでいる自治体に納税することになります。

自分が生まれた育った「ふるさと」へ税制を通じて貢献できないか、という想いから「ふるさと納税」導入されました。

地方創生を目的とした制度でもあります。

 

◆ふるさと納税の意義

①納税者が寄附先を選択する制度であり、選択するからこそ、その使われ方を考えるきっかけとなる制度であること。

②生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域へも力になれる制度であること。

③自治体が国民に取組をアピールすることでふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むこと。

自治体には納税者の「志」に応えられる施策の向上を期待し、一方で納税者は地方行政への関心と参加意識を高まることを期待した関係となります。

 

◆最近のふるさと納税の動向

「実質負担2,000円で返礼品がもらえるシステム」に変わりつつあります。

「還元率の高さ」や「換金性の高い返礼品の増加」が問題となってきました。

当初のふるさと納税の目的・意義から逸脱したものへと変わってしまったと言えそうです。

そこで、総務省は抜本的な見直しの検討を行い、2019年6月1日からいくつかの規制をすることになりました。

 

◆ふるさと納税の規制

総務大臣が以下の基準に適合した地方団体を指定することになりました。

① 寄附金の募集を適正に実施する地方団体

② (①の地方団体で)返礼品を送付する場合には、以下のいずれも満たす地方団体

・返礼品の返礼割合を3割以下とすること

・返礼品を地場産品とすること

 

<ふるさと納税に係る総務大臣の指定>

http://www.soumu.go.jp/main_content/000619119.pdf

 

今回指定を受けた自治体は、1,783団体です。

申請書の提出をしたにもかかわらず、指定を受けられなかった自治体は4つありました。

また、東京都は申請書の提出をしていないため、合計で5つの自治体が対象外です。

 

6月1日以降、ふるさと納税「対象外」自治体

東京都

小山町(静岡県)

泉佐野市(大阪府)

高野町(和歌山県)

みやき町(佐賀県)

 

さらに今回指定を受けた自治体のうち、指定期間が4ヶ月間(6月1日~9月30日)だけの自治体もあります。

おそらく7月中に申請書の提出を行い、10月1日以降の指定を受けると予想ができます。

 

補足になりますが、規制の対象は『ふるさと納税(特例控除)』のみになります。

 

◆まとめ

ふるさと納税は、実質的に2,000円の負担で地場産などの返礼品がもらえるメリットがありました。

最近ではAmazonギフト券の返礼など、制度の目的・意義から逸脱したものが目立ち、ついに規制が入りました。

寄付先・返礼品の規制には、不満を感じる方も少なくないかもしれません。

しかしながら、本来の目的・意義を再確認することで、ふるさと納税に対する意識が変わるのではないでしょうか。

(執筆:渡辺)

節税保険の見直し

節税保険とは、会社が高額の生命保険料を払って加入。
保険料は全額が経費になり会社の利益を圧縮して節税します。

10年ほどで解約すると払い込んだ保険料の多くが戻り利益になります。
そのままでは返戻金に対して税金がかかります。
そこで、役員に退職金を支給したり設備投資をすることで返戻金に税金がかからないようにしていました。

 

国税庁は4月11日、昨年から大手生命保険会社の多くが販売していた節税保険を規制する改正案を公表しました。


改正案では、ピーク時の解約返戻率が50%超の保険については支払保険料の全額を経費にすることは認められません。

現在は、保険期間や被保険者の契約時の年齢に着目して支払保険料の一部を資産計上しています。

改正後は、ピーク時の解約返戻率に着目して資産計上する金額が決まります。

具体的には、解約返戻率が50%超の保険の支払保険料について、解約返戻率に応じた一定の金額を資産計上し、残額を経費にすることになります。

【最高解約返戻率50%超の定期保険等の保険料の主な取り扱い(案)】

最高解約返戻率 資産計上期間

資産計上額

(残額が経費)

①50%以下 なし なし

②50%超
70%以下

保険期間の前半4割相当の期間 当期支払保険料の40%
③70%超
85%以下
当期支払保険料の60%
④85%超 保険期間開始日から最高解約返戻率となる期間等の終了日

 

当期支払保険料×90%(保険期間開始日から10年経過後からは70%)

いままで節税保険として販売されていた保険には、解約返戻率が85%超に設定されていたものもあります。


例えば、
・契約から10年目の解約返戻率が90%になる定期保険
・支払保険料が年300万円

このケースでは、
・300万円×解約返戻率90%×90%=243万円が資産
・300万円-243万円=57万円が経費
となります。


今までは300万円全額が経費になる保険商品があったことを考えると節税としての魅力はなくなります。

この改正の適用時期については正式に通達が発表された日以後の生命保険契約について適用されることとなりました。

つまり、同日前の既存契約分への遡及適用はありません。

遡及適用がないので今すぐに加入したいところです。

しかし、国税庁が経費算入ルールを変更することを事前に通達したため節税保険は各社2月で販売を停止しています。

今までも経費算入ルールが変更される度に新しい保険商品が開発され、節税保険が販売されてきた歴史があります。

今後の国税庁、生命保険各社の動向に注目したいと思います。

(執筆:古舘)

親族の特別寄与料請求制度

2019年7月1日から特別寄与料請求権が施行されます。

 

今まで、被相続人の相続人ではない親族は、相続分を受け取る事ができませんでした。

 

特別寄与料請求権の創設により、被相続人へ無償の療養介護や、労務提供を行った場合、 相続人でなくても寄与分が認められるようになりました。

 

【特別寄与料】

特別寄与料とは、相続人に対して無償で療養介護などをした事により、被相続人の財産の維持または増加に特別の寄与をした被相続人の親族(相続人等を除く)が相続人に対して請求できる一定の金銭を言います。

 

例えば、親よりも長男が先に亡くなっているケースでは、親が死亡した場合、長女、次男が相続人となります。

 

長男の妻が被相続人の介護に尽力していたとしても、相続財産の取り分はありませんでした。

 

今回の改正で、長男の妻は相続開始後、相続人(長女・次男)に対して、金銭の請求(特別寄与料の請求)をする事が認められました。

【特別寄与者となれる親族の範囲】

 特別寄与者として特別寄与料を請求できるのは、被相続人の相続人以外の『親族』になります。

 

『親族』の範囲は、

・配偶者

・6親等以内の血族

・3親等以内の姻族

 

亡き長男の妻は1親等の姻族になりますので、親族の範囲に該当します。

なお、内縁の配偶者は親族にはあたりませんので、特別寄与料請求制度の対象となりません。

 

【税務上の取り扱い】

・ 特別寄与者

① 特別寄与者が支払を受ける特別寄与料は遺贈により取得したものとみなして、相続税が課税対象となる。

② 特別寄与者が新たに相続税の申告義務が生じた場合には、当該事実を知った日から10月以内に相続税の申告書を提出しなければならない。

 

・特別寄与料を支払う相続人

③ 支払うべき特別寄与料の額を各相続人の課税価格から控除する。

④ 特別寄与料の額が相続税の申告期限までに確定しない場合は、確定後4月以内に限り更正の請求をすることができる。

 

【まとめ】

特別寄与料が認められる事により、特別寄与者の不公平感が無くなっていくと思いますが、特別寄与料の金額は、遺産分割協議で決まります。

より被相続人への貢献度合いを考慮してもらう判断材料の準備が必要となっていくと考えられます。

実費領収書、介護日記などの記録を残していくことをお勧めします。

 

執筆:小林

副業に関する確定申告

昨今の「働き方改革実行計画」を踏まえ、政府は副業を容認・普及を図るようになりました。

 

所得税の確定申告まっさかりですが、副業に関する申告が必要な案件が徐々に増えつつあるようです。

 

オークションでの販売、ブロガー、YouTuber、民泊など、一昔前ではなかったものが登場しています。

 

今回は、副業に関する確定申告の留意点を中心にまとめてみました。

 

【制度概要】

◆所得の区分

所得税には、所得区分が10種類も規定されています。

・給与収入=「給与所得」

・副業収入=「事業所得」または「雑所得」

 

◆事業所得・雑所得の所得計算

事業所得・雑所得ともに、収入から必要経費を差し引いて計算します。

 

◆事業所得の制度的なメリット

・青色申告特別控除(65万円または10万円)

・給与所得との損益通算

・損失の繰越し

・単価30万未満の資産の一括費用

 など。

 

上記の制度は雑所得には、一切用意されていません。

したがって、所得税の計算上、事業所得は雑所得より有利になることが多いです。

 

【事業所得と雑所得の判定基準】

前述のとおり、「事業所得」は「雑所得」と比較するとメリットが多いです。

数年前になりますがNHKの番組で、サラリーマンが副業で損失が出た場合は、副業を事業所得として申告することで給与所得と損益通算すると税金の還付ができるようなことをやっていました。

副業での損失は、給与所得と損益通算できることが当然であるような風潮ですが、これには注意が必要です。

 

◆過去の判例による基準

平成26年9月1日裁決(国税不服審判所)

大学の准教授が執筆・講演等で生じた所得を「事業所得」として確定申告したが認められず、「雑所得」と判断されました。

判旨による基準は以下のようなものでした。

 

・自己の危険と計算において独立して行う業務か

・営利性と有償性を有しているか

・反復継続して遂行されて営まれているか

・社会的地位が客観的に認められているか

これらが備わっていれば「事業所得」と認められ、ひとつの判定基準ともいえそうです。

 

端的に言うと、片手間や趣味で収入を得ている場合には「雑所得」というイメージです。

 

したがって、サラリーマンが休日や平日帰宅後を利用して、

・オークションなどで利益を得る

・ブログや動画をネットで公開して、アフィリエイト収入を得る

といったケースは、雑所得と判断されることがほとんど考えられます。

なお、民泊は原則として雑所得と国税庁が公表しています。

 

【まとめ】

サラリーマンなどの給与所得者の副業は、現実的には「雑所得」に該当するケースが多いです。

副業を事業所得として申告するのであれば、事業所得と認められるだけの材料が必要と考えられます。

また、仮に事業所得として損失が生じ給与所得との損益通算ができたとしても、必要経費に家事関連費が含まれていたら別の問題が生じます。

副業を事業所得とすることは、意外とハードルが高いということは認識しておくといいかと思います。

 

執筆:渡辺

消費税軽減税率対策補助金

中小企業庁は2019年10月の消費税軽減税率制度の実施に向けて、「軽減税率対策補助金」の補助対象の拡大をすることになりました。

 

【制度拡充の概要】

1.補助対象の拡大

(1)「区分記載請求書等保存方式」について、これに対応するシステムの開発・改修、パッケージ製品・ 事務機器等の導入に係る費用が補助対象となります。

(2)これまでは、レジの設置と同時に行われる商品情報(商品マスタ)の登録に係る費用を補助対象としてきましたが、レジ設置時とは別に行う場合も補助対象となります。

(3)複数税率に対応する「券売機」についても、補助の対象となります。

 

2.補助率の引上げ

レジの設置・改修、受発注システムの改修等に要する経費の「3分の2以内」であった補助率を、原則「4分の3以内」に引き上げます。

併せて、3万円未満のレジを1台のみ導入する場合の補助率を「4分の3以内」から「5分の4以内」に引き上げます。

 

3.補助対象事業者の取扱い

補助対象外となっていた旅館・ホテル・料亭等の事業者も対象となります。

 

【制度拡充の時期】

2019年1月1日からの申請から適用されます。

なお、補助金の交付申請受付期限については、2019年12月16日までですが、2019年9月30日までにレジの導入又は改修を終え、支払いを完了しているものが対象になります。

【まとめ】

軽減税率の導入にあたってはポイント還元など、まだまだ不確定な要素がありますが、事業者様につきましては早目に対応をしてください。

(執筆:古舘)

2019年度 税制改正大綱

2019年度の税制改正大綱が発表されました。

身近で主要な改正内容をピックアップします。

 

【所得課税関係】

【所得課税関係】

◆住宅ローン控除の適用期限の延長

消費税率10%が適用される住宅取得等をして、2019年10月1日から2020年12月31日までに居住した場合、住宅ローン控除の適用期間(現行10年)を3年間延長されます。

 

◆ふるさと納税の対象の制限

総務大臣が、以下の基準に適合する都道府県等をふるさと納税の対象として指定することになりました。

・返礼品の返礼割合が3割以下

・返礼品を地場産品とする

2019年6月1日以後支出した寄附金より適用されます。

 

◆個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度の創設

個人事業者の事業承継税制が10年間の時限措置として新たに創設されます。

認定相続人・受贈者が、青色申告の承認を受けていた個人事業者から、相続等又は贈与によりその個 人事業者の事業の用に供されていた「特定事業用資産」を取得し、事業を継続していく場合には、その取得した特定事業用資産の課税価格に対応する相続税または贈与税の全額について、その納税が猶予されます。

 

ポイントは以下のとおりです。

・2019 年1月1日から2028 年12 月31日までの時限措置

・相続のみならず生前贈与にも適用が可能であり、納税の猶予割合はともに100%

・相続税の納税猶予制度は、現行措置 (特定事業用宅地等の小規模宅地等の特例) との選択適用

・宅地以外にも、事業用の建物及び一定の減価償却資産が制度の対象

・認定受贈者が贈与者の推定相続人以外の者であっても、相続時精算課税制度の適用が可能

 

【法人課税関係】

◆中小企業者等の法人税軽減税率の特例の期限延長

中小企業者等法人税率の特例15%(所得金額が年800万円以下の金額)の適用期限が2年延長されます。

 

◆中小企業経営強化税制の期限延長

中小企業者等が経営力向上計画に基づき一定の設備を取得した場合、即時償却又は税額控除できる制度の適用期限が2年延長されます。

 

◆仮想通貨の法人税における評価方法

①法人が事業年度末に仮想通貨を有していた場合

活発な市場が存在する仮想通貨については「時価評価」とされます。

 

②仮想通貨の譲渡に係る原価の計算方法

移動平均法または総平均法のいずれかとし、法定算出方法は「移動平均法」とされます。

 

2019年4月1日以後に終了する事業年度分について適用。

ただし、同日前に開始し、かつ、同日後に終了する事業年度において、時価評価していない場合は、上記①②を適用しないことができます。

 

◆まとめ

今回の改正では、実務に影響するものは少なかったように感じました。

しかしながら、法人が仮想通貨を所有するときは「時価評価」の取り扱いに注意が必要になるでしょう。 

経過措置があるとはいえ、対象となる法人は事前に周知と対策が必要となりそうです。

 

(執筆:渡辺)

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