
相続人に未成年者がいる場合の遺産分割協議
2016/4/01
相続人に未成年者がいる場合、遺産分割協議には特別な手続きが必要になります。
1.概要
父が死亡した場合に、共同相続人である母と未成年者の子の間で利害関係が衝突する行為のことを「利益相反行為」といいます。
この場合、親権者である母が、その未成年者(子)との間で遺産分割協議をするには、子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません。
2. 申立先
子の住所地の家庭裁判所
3. 申立てに必要な費用
・収入印紙800円分(子1人につき)
・連絡用の郵便切手(申立てをする家庭裁判所で確認)
4. 申立てに必要な書類
(1) 申立書
(2) 標準的な添付書類
・未成年者の戸籍謄本
・親権者の戸籍謄本
・特別代理人候補者の住民票又は戸籍附票
・遺産分割協議書(案)
5. 特別代理人になる人
特別代理人になるために資格などは必要ありません。
特別代理人は、未成年者の利益を保護するために選ばれます。
通常、未成年者との関係や利害関係の有無などを考慮して、適格性が判断されます。
6. 特別代理人の仕事
特別代理人は、家庭裁判所の審判で決められた行為(書面に記載された行為)について、代理権を行使することになります。
具体的には、審判に記載された内容の遺産分割協議書に署名捺印します。
7.まとめ
相続税を考えると配偶者の特例があるので母が全部相続したほうが節税になります。
しかし、裁判所は未成年者の相続財産が法定相続分を超える内容の遺産分割協議でなければ認めてくれないケースがほとんどです。
また、特別代理人の選任手続きには数か月かかる場合もありますのでなるべく早めに手続きしましょう。
(執筆:古舘)