
確定拠出年金法の改正
2016/7/01
2016年5月に確定拠出年金法が改正されました。
改正の目玉は「個人型の加入者範囲の拡大」です。
これまで制度に加入することができなかった、 主婦、公務員、すでに企業年金に入っている会社員も併用して使えるようになります。
実質的にすべての現役世代が対象となりました。
【個人型確定拠出年金とは】
私的に加入する年金で、加入者が出した掛金(上限あり)をもとに自己責任で運用し、その運用結果で将来受け取れる年金額が決まるという制度です。
現在は企業年金がない会社員と自営業者が対象になっています。
この制度は「節税効果」が非常に高いことが特徴です。
【拠出時の節税】
掛金額が小規模企業共済等掛金控除として所得税・住民税の課税所得から控除されます。
(節税額の例)
対象 会社員(厚生年金加入、企業年金なし)
掛金 年276,000円(上限額)
税率 20%(所得よって変わります)
節税 所得税 55,200円(掛金×税率)
住民税 27,600円(掛金×10%)
国民年金の加入者は、掛金の上限が年間816,000円ですので、さらに大きな節税効果が期待できます。
【運用時の節税】
運用益はすべて非課税
【受取時の節税】
一時金方式・・・退職所得控除が適用
年金方式・・・公的年金控除が適用
このように節税効果が高いことが、この制度の最大のメリットとなります。
デメリットを挙げるのであれば、
・60歳まで現金化ができない
・運用リスク
現金化できないことは、老後のための貯蓄と考えると結局は使えません。
運用リスクは元本保証型の導入、節税幅を考えれば十分に補えるのではないでしょうか。
【所得控除の種類】
最後に確定申告、年末調整時の所得控除について注意点がひとつ。
確定拠出年金は「小規模企業共済等掛金控除」というものになりますが、これは本人のみが控除対象になります。
似ている控除で「社会保険料(国民年金等)」は、生計を一にする親族が控除対象になります。
専業主婦の確定拠出年金を夫の控除対象には出来ませんので、混同しないように注意が必要になります。
今回の改正はすでに企業年金に入っている会社員が、単純に掛金上限が増えるので一番恩恵を受けられるのかなと思われます。
現時点で加入できる方、興味があれば早めの検討・導入をおすすめします。
(執筆:渡辺)