〒171-0022 東京都豊島区南池袋1-13-23 JRE南池袋ビル5階

受付時間
平日   9:00~11:30
  12:30~18:00
アクセス
池袋駅東口徒歩6分

お気軽にお問合せ・ご相談ください

03-6907-4177

2018年(平成30年)

お気軽にお問合せ・ご相談ください

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
03-6907-4177
受付時間
9:00~18:00
定休日
土曜・日曜・祝日

雑損控除と災害減免法

台風や地震などで住宅が被災した場合、雑損控除または災害減免法という税制面の支援があります。

 

確定申告をすることで所得税の減免が受けられます。

 

その仕組みを解説します。

 

【雑損控除】

 

雑損控除は、その年の所得から一定額を差し引いて課税所得を減らす仕組みです。

 

住宅のほか、家財や通勤用の自動車など、生活に必要な資産で損失を負った場合が対象となります。

 

損失は被災直前の時価をベースに計算します。

住宅が全壊した場合、時価の100%相当に、家の撤去費用や流入土砂の除去費用といった「災害関連支出額」を加えて、損失額を求めます。

半壊の場合は時価に50%を掛けます。

 

時価800万円の家が全壊し、関連支出が100万円かかったとすると、損失額は900万円です。

ただし、契約していた火災保険などから保険金を受け取った場合は、その分を差し引きます。

保険金受取額が700万円なら損失額は200万円です。

 

雑損控除で所得から差し引けるのは、次の①と②のどちらか多い金額です。

①損失額 - 「所得金額の10%」

②災害関連支出額 - 5万円

 

所得金額が600万円の人の損失額が200万円、関連支出額が100万円の場合、

① 200万円 - 600万円×10%=140万円

② 100万円 - 5万円=95万円

 

このケースでは140万円が控除されます。

 

所得金額が1200万円の人の損失額が200万円、関連支出額が100万円の場合、

① 200万円 - 1200万円×10%=80万円

② 100万円 - 5万円=95万円

 

このケースでは95万円が控除されます。

 

【災害減免法】

 

災害減免法による減免措置は住宅または家財が被災し、時価の2分の1以上の

損失を負った人が対象です。

 

適用を受けると、その年の所得税が減免されます。

減免額は所得区分に応じて3段階です。

・500万円以下 → 全額免除

・750万円以下 → 2分の1を免除

・1,000万円以下 → 4分の1を免除

※1,000万円超の人は適用がありません。

 

また、雑損控除とは違い、撤去や修復にかかった費用は、損失額に含めることはできません。

 

【まとめ】

災害減免法の適用はその年限りですが、雑損控除の場合、所得から引き切れない金額が残れば、

翌年から3年間繰り越すことができます。

繰り越した損失はその年の所得から控除できます。

 

被災された方の所得金額、損失額によってどちらの制度を適用した方が有利かどうかが

異なります。

少しでも多く負担を減らすために慎重に検討しましょう。

(執筆:古舘)

年末調整

今年もあと2カ月となりました。

いよいよ「年末調整」の時期です。

 

年末調整の目的は「1年間の正確な所得税額を計算し、精算すること」です。

給与天引きされる所得税は概算金額ですので、正確な所得税額との過不足を精算する必要があります。

平成30年の年末調整は「配偶者控除」「配偶者特別控除」(2つあわせて「配偶者控除等」)に大きな改正がありました。

今回は配偶者控除等の改正に伴う変更点を中心に、年末調整の必要書類を整理してお伝えします。

◆配偶者控除等の控除額の変更

本人の合計所得金額が1000万円を超える所得者については、配偶者控除の適用を受けることはできなくなりました。

また、配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下となり、その控除額の算定が複雑となっています。

 

配偶者控除は引き続き、合計所得が38万円以下です。

なお、給与のみの場合は支給額103万円以下で合計所得が38万円以下になります。

 

◆配偶者控除等申告書の追加

今年から「給与所得者の配偶者控除等申告書」という書類が追加されました。

とは言っても、昨年まで1枚にまとめていた書類を、配偶者控除等の複雑化に伴い記載事項が増えたため、2枚に分けたというだけのことです。

 

配偶者控除等 の金額の算定に、

平成29年までは「配偶者の所得」だけが必要でした。

平成30年からは「配偶者の所得」に加え、「本人の所得」も必要になりました。

 

これら所得を様式にしたがって記載します。

具体的な様式を下記で確認したほうが、わかりやすいかもしれません。

国税庁ホームページ

[手続名]給与所得者の配偶者控除等の申告

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_71.htm

最終的に下部に記載されている表に当てはめ、配偶者控除または配偶者特別控除の額がいくらになるのかを確定させます。

◆必要書類のまとめ

①給与所得者の扶養控除等申告書(マル扶)

年末調整の対象となる全ての社員に記入してもらう必要があります。

すこし細かい話ですが、この書類の提出があって給与計算の源泉所得税は「甲欄」で計算することができます。

年の途中で従業員が増えた場合、基本的には最初の給与支給前までに提出してもらいます。

 

②給与所得者の保険料控除申告書(マル保)

生命保険・地震保険・給与天引き以外の社会保険料などがある場合に必要になります。

 

③給与所得者の配偶者控除等申告書(マル配)

配偶者がいる場合に必要になります。

 

基本的には上記3点になります。

①は全員、②③は該当者ということになりますが、「該当なし」を確認する意味で①②③すべて提出してもらう会社もあるようです。

 

住宅ローン控除2年目以降の対象者は、下記も忘れないようにして下さい。

・給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

 

◆まとめ

今年は配偶者控除等の改正に伴い、用紙の見直し・追加など、大きな変更点がありました。

ザックリで構いませんので、まずは年末調整の担当者が変更点や必要書類を理解することが、複雑になった年末調整を乗り切るには重要となるのではないでしょうか。

繰り返しになりますが、年末調整の目的は「1年間の正確な所得税額を計算し、精算すること」です。

そのためには、早めの準備を心がけることが肝心と言えそうです。

(執筆:渡辺)

広い土地の相続税評価

広い土地の評価方法が改正されました。

 

三大都市圏で500平方メートル以上(一部の地域で500平方メートル未満でも可)、 それ以外の地域で千平方メートル以上の土地は2017年まで一定条件を満たすと「広大地」とみなされ、 相続税の評価をかなり下げることができました。

 

広大地とは、マンション用地に適さない土地で全体を有効利用できず、一戸建ての区画を造成することになる土地のこと。

 

その場合、新しく道路を通す必要があり、道路部分は売却できないのでその分の評価を下げる仕組みでした。

 

都内の500平方メートルの広大地の場合、通常の評価額から42.5%。

通常の評価方法では1億円の土地が、広大地になると5,750万円まで下がりました。

 

広大地として評価する場合、不動産の専門家に宅地開発の想定図を作成してもらう必要があり、

実務上の負担がありました。

 

そこで、2004年に土地全体の面積に応じて一定の計算式で評価の減額率を決めるルールに改正されました。

 

ところが、この減額率が大きかったため広大地をわざわざ購入して相続後にすぐに売るなどの節税対策が増えてしまいました。

こうした節税策を封じるため、2018年から新しいルールで広い土地を評価することになったのです。

それが「地積規模の大きな宅地」の評価です。

相続税の評価額は通常よりは下がるものの、減額率を広大地に比べて縮小されました。

都内の500平方メートルの減額率は20%までです。

 

さらに、「中小工場地区」とされるエリアでは評価減が認められなくなりました。

 

一方、広大地ではなかった土地が地積規模の大きな宅地と認められ、減税になるケースもあります。

それは「マンション用地に適すか否か」を、土地の容積率で機械的に判定するようになったからです。

東京23区で容積率300%以上、それ以外で400%以上でなければ、マンションが建っていても評価減が認められることになりました。

 

広い土地の評価方法は頻繁に改正されています。

地主の方など広い土地を持っている方は、今後の改正にもご留意ください。

(執筆:古舘)

消費税の軽減税率の概要

2019年10月1日から、消費税が10%になります。

 

この増税と同時に消費税の軽減税率制度が実施される予定です。

 

国税庁は8月9日、消費税軽減税率制度の手引きを公表しました。

 

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/01-1.htm

 

【税率】

標準税率 10%

軽減税率 8%

 

【軽減税率の対象】

1.飲食料品(酒類と外食を除く)

2.一週間に2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)

 

代表的な軽減税率の事例をいくつか紹介します。

◆飲食料品

・飲食料品(酒類と外食を除く)

・お弁当(持ち帰りのための容器に入ったもの)

・ファーストフード店でのテイクアウト

 

◆一週間に2回以上発行される新聞

・宅配の新聞で定期購読契約(電子版は対象外)

 

【事業者の対応】

・売上、仕入、経費を税率ごとに区分して経理

・区分経理に対応した請求書、領収書等の発行

 

【仕入税額控除の要件】

・2019年10月1日〜

  帳簿、区分記載請求書等の保存(区分記載請求書等保存方式)

・2023年10月1日〜

  帳簿、適格請求書等の保存(適格請求書等保存方式)

 

【飲食店業を営む事業者】

・売上

  税率ごとに区分して経理して、区分記載請求書等を交付します。

・仕入等

  税率ごとに区分して経理します。

 ※消費税の免税事業者

  区分記載請求書等の交付は必要になります。

【飲食店業以外の事業者】 

・経費等

  税率ごとに区分して経理します。

【まとめ】 

今回は、消費税の増税に伴う軽減税率制度を中心にまとめました。

特に飲食店業は、現場も経理事務も煩雑となることは間違いなさそうです。

少しでも作業効率を図るため、軽減税率に対応したレジ・会計ソフトの導入は必須といえそうです。

レジの導入は補助金制度もあるようです。早めの対応を検討してもいいでしょう。

 

執筆:渡辺

事業承継税制の改正

平成30年4月1日から事業承継税制が大きく変わっています。
 

事業承継税制とは、後継者が非上場会社の株式を先代経営者から贈与または相続により取得した場合において、その株式にかかる贈与税・相続税の納税が一定の要件によって猶予される特例です。


また、後継者の死亡等により納税が猶予されていた贈与税・相続税の納付が免除される特例制度です。


相続税は、相続により取得した非上場株式にかかる課税価格の80%に対応する税額が猶予されます。

贈与税は、生前贈与により取得した非上場株式にかかる課税価格の全額に対応する税額が猶予されます。


いずれも、相続・贈与前から後継者が既に保有していた議決権株式を含め、発行済み議決権株式総数の3分の2に達するまでの部分に限られていました。


平成30年度税制改正において、10年間限定の特例措置が設けられました。


改正により、これまでの措置(一般措置)に加え、10年間の措置として納税猶予の対象となる非上場株式の制限(議決権株式総数の最大3分の2まで)の撤廃や、相続税の納税猶予割合の引き上げ(80%から100%)等がなされた特例措置が創設されました。


【特例措置と一般措置の比較】

  特例措置 一般措置
事前の計画策定等

2018年4月1日から2023年3月31日までに
「特例承認計画」の提出

不要
適用期限 2018年1月1日から2027年12月31日までに
贈与・相続により株式を取得
なし
対象株数 全株式 議決権株式総数の最大3分の2まで
納税猶予割合 100% 贈与:100%、相続:80%
承継パターン 複数の株主から最大3人の後継者 複数の株主から1人の後継者
雇用確保要件 弾力化 承継後5年間
平均8割の雇用維持が必要
事業の継続が困難な事由が生じた場合の減免 あり なし
相続時精算課税の適用 60歳以上の者から
20歳以上の者への贈与
60歳以上の者から
20歳以上の推定相続人・孫への贈与


認定を受ける会社の要件は、中小企業であることです。


【中小企業】

業種 中小企業者(下記のいずれかを満たすこと)
資本金の額 従業員数
  ①製造業、建設業、運輸業、その他の業種(②から④を除く) 3億円以下 300人以下
  ②卸売業 1億円以下 100人以下
  ③サービス業 5,000万円以下 100人以下
  ④小売業 5,000万円以下 50人以下

※上場会社・風俗営業会社でないこと、従業員が1人以上いること、資産保有・運用会社に該当しないこと。

 


中小企業の事業承継を円滑に行うことにより、地域の経済活動や雇用の維持を図るために設けられたのがこの特例です。


納税資金の負担により事業の存続が危ぶまれることのないよう、しっかりとした対策を立てておくことが重要です。

 


(執筆:古舘)

民泊事業による税金の取り扱い

月15日に新民泊法が施行され、これにより貸し手は自治体に届出が必要になりました。

 

Airbnbが届出の確認ができない案件についてキャンセルを行った結果、泊まり先がない旅行者が出てしまい問題にもなりました。

 

国税庁は民泊について、税務上の取り扱いを公開しました。

 

『住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業により生じる所得の課税関係等について』

 

https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/1906.htm

 

 

今回は重要な部分を整理して、確定申告の必要性の有無と所得計算をまとめます。

 

【所得区分】

 

原則として『雑所得』に区分されます。

 

不動産の貸付けなので不動産所得とも考えられますが、以下の点が一般的な不動産の貸付け(賃貸)とは異なるといえます。

 

・宿泊者の安全等の確保や一定程度の宿泊サービスの提供等が義務付け

 

・利用者から受領する対価には、部屋の使用料のほか、役務提供の対価も含まれている

 

・住宅宿泊事業に利用できる家屋は限定されている

 

・宿泊日数が制限されている

 

これらの理由から一部の例外を除き、『雑所得』と区分されることとなりました。

 

民泊の所得計算は、

 

「収入金額」‐「必要経費」=「民泊の所得」

 

となります。

 

【収入金額】

 

いうまでもないですが、「利用者から受領した対価」となります。

 

 

【必要経費】

 

必要経費に算入できるものは、以下になります。

 

①その収入金額を得るため直接に要した費用

 

②販売費、一般管理費その他住宅宿泊事業による所得を生ずべき業務について生じた費用

 

 

具体例は、次のとおりです。

 

・住宅宿泊仲介業者に支払う仲介手数料

 

・住宅宿泊管理業者等に支払う管理費用や広告宣伝費

 

・水道光熱費、通信費

 

・宿泊者用の日用品等購入費

 

・住宅宿泊事業に利用している家屋の減価償却費

 

・固定資産税

 

・住宅宿泊事業用資金の借入金利子

 

など。

 

 

民泊のためだけに要した費用は計算しやすいですが、民泊用と生活用の費用が含まれているものについては注意が必要です。

 

 

国税庁では「合理的な方法により区分して計算」と曖昧な表現にしています。

 

 

一例ですが、固定資産税は床面積で按分など考えられます。

 

また、一度採用した計算方法は継続して採用することも重要となります。

 

 

※生計を一にする配偶者その他の親族に支払う地代家賃等は必要経費にできません。

 

 【まとめ】

 

基本的に民泊の所得については確定申告が必要となります。

 

前述した「収入金額」から「必要経費」を控除して「民泊の所得」を計算します。

 

 

民泊運営はサラリーマン(給与所得のみ)の方も多いのではないでしょうか。

 

給与所得者の場合、例外として他の所得が20万円以下であれば確定申告不要という制度があります。

 

 

申告不要の場合でも、税務署から問い合わせがあれば、所得20万円以下という証明を自らが行わなければなりません。

 

収入と経費の証拠(領収書)などは残しておくようにしましょう。

 

 (執筆:渡辺)

IT導入補助金

IT導入補助金は、業務の生産性向上を図ることを目的とした制度です。

 

中小企業がITツール(ソフトウェア、サービス等)を導入する経費の一部が補助されます。

 

IT導入補助金4つのポイント

 

1.対象になるITツール

 

ソフトウェア製品/クラウドサービスと、それに付随するオプション、サポート費用などの導入に必要な費用が、ほぼすべて対象となります。

 

2.対象企業

 

中小企業・小規模事業者となります。

卸売業や小売業・製造業・サービス業など、多くの企業が対象です。

 

 

主な対象業種 対象条件:資本金、従業員規模の一方が、下記以下の場合

資本金  従業員(常勤)

卸売業 1億円   100人  

小売業 5000万円   50人  

製造業 3億円   300人  

サービス業 5000万円   100人  

その他の業種や条件については、こちらをご確認ください。

https://www.it-hojo.jp/applicant/subsidized-works.html

 

3.IT導入補助金はいくらでるの?

 

補助金額は、対象製品の購入金額の1/2になります。上限が50万円、下限が15万円となります。

※補助金の交付には、30万以上の購入が必要です。

 

例えば、導入金額が100万円の場合、最大50万円の交付が受けられます。

 

4.申請期間はいつまで?

 

一次公募の交付申請期間は2018年6月4日(月)までです。

 

補助金総額は500億円。

二次公募もも予定されていますが、審査は早い公募から実施されます。

予算消化型の制度であることも考えると、早めの申請がベストと言えそうです。

 

【まとめ】

 

IT導入補助金は、審査が通ってから購入(導入)する制度となります。

 

まずは生産性向上・効率化したい業務を探し、効果の確認から補助金活用を検討していきましょう。

 

※交付決定前に契約・導入され発生した経費は補助対象となりません。必ず交付決定を受けた後に補助事業を開始してください。

 

※補助金の申請には審査があります。詳しくはIT導入補助金サイトをご覧ください。

https://www.it-hojo.jp/

(執筆:古舘)

配偶者の扶養範囲

最近「配偶者の扶養範囲」について問い合わせが増えています。

 

配偶者の税額(所得税・住民税)が増えないように働きたいということです。

 

税務的には「配偶者控除」が受けられるか否かということになります。

 

長年「103万円の壁」が定着していましたが、2018年の改正でややこしくなりました。

 

住民税・所得税、さらに社会保険料の負担がない範囲はそれぞれ異なり、混乱する要因の一つかと思います。

 

 今回は夫の税額が変わらない 「配偶者控除」が受けられる範囲内で、

 

①妻がどのくらいの収入を得られるのか

②妻の税金等の負担の有無

について整理してみます(収入は夫婦ともに「給与」のみ、夫の方が妻より収入が多いと仮定します)。

 

◆妻の収入ごとの『妻』の課税関係 

 

①93万円~100万円以下

なにも課税されない範囲です。

住民税は市区町村によって変わりますが、多くの市区町村は100万円以下です。東京都も100万円以下です。

 

②100万円超~103万円以下

住民税だけが課税されます。

課税額は数千円程度となり、負担は軽いです。

 

③103万円超~130万円以下

住民税・所得税は課税されますが、まだ負担は軽いです。

社会保険(健康保険・厚生年金)は夫の扶養範囲 (一部106万円※)です。

 

※一部106万円とは、妻のパート先が以下のとき。

・従業員501人以上の企業

・週20時間以上勤務

・月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)

・勤務期間1年以上見込み

大きい会社でパートをしているときは確認が必要です。

それ以外は無視して問題ありません。

 

④130万超~150万円以下

住民税・所得税に加えて、社会保険 (健康保険・厚生年金) も自分で加入します。

社会保険の負担は給与の約15%となり、急に負担が多くなります。

 

◆妻の年収の壁

①年収100万円

 →全額、世帯収入アップです。

 

②年収103万円・130万円(一部106万円)

 →多少の税金が増えますが、負担は軽いです。

 

③年収150万円

 →社会保険料負担が重くなり、手取りが減る逆転現象も起こり得ます。

  逆転現象が起こらない目安は160万円となります。

 

④年収150万円超

夫の「配偶者控除」が最大限受けられなくなり、夫が増税となります。

 

◆まとめ

結局、妻は年収をどこに定めると一番お得になるのか?

その目安は下記のように考えてみるのはいかがでしょうか。

 

①妻が税金を絶対に払いたくない場合

→妻の収入100万円が目安

 

②世帯収入を増やす目的の場合

→妻の収入130万円が目安

 負担は軽いですが、住民税・所得税を払うことになります。

 

③妻自らが社会保険も加入して、できる限り働きたい場合

→妻の収入160万円以上

 

以上のように整理ができます。

 

最後になりますが、配偶者控除は『夫』の年収が高い(1120万円以上)場合には、段階的に配偶者控除額の引き下げも決定しています。

 

これは妻の年収には関係なく、夫は増税となりますのでご注意ください。

(執筆:渡辺)

支払調書の提出基準等の変更

平成30年1月1日より生命保険契約に関する支払調書の提出基準等が変更されています。

 

支払調書とは

 

支払調書とは、特定の支払いをした事業者が、税務署に提出する書類のことです。

支払いを受けた人がきちんと申告しているかどうかを税務署がチェックするために利用されます。

 

生命保険金や個人年金を受け取ったり、生命保険を解約して解約返戻金を受け取った場合、この支払調書が生命保険会社から税務署へ提出されていました。

今回、提出基準と記載内容が変更となっています。

 

支払調書の提出基準の変更

 

【平成29年まで】

・1回の支払金額が100万円を超える保険金、解約返戻金を支払う場合

・年間20万円以上の年金等を支払う場合

【平成30年から】

平成29年までの基準に加えて、「死亡(相続)による契約者の変更」の場合が追加されます。

また、解約返戻金相当額が100万円以下の場合も調書を出すことになりました。

 

平成30年1月以降の生命保険の契約者変更は税務署に全て把握されることになります。

今までは契約者変更だけでは支払調書は提出されていなかったので、 納税者が自ら申告しない限り税務署が契約者変更を把握することはできませんでした。

今回の改正の趣旨は、税務署が契約者の変更情報を把握することで相続税及び贈与税の課税漏れを防止するためです。

(1)親が契約者、子が被保険者というケースでは、親が死亡しても保険金は支払われません。

でも、解約返戻金等相当額が「生命保険契約に関する権利」として相続税の課税対象となります。

 

しかし、保険金が支払われたわけではないため支払調書が提出されず、税務署がこれを把握できませんでした。

 

(2)契約者を変更した後に死亡保険金、満期保険金、解約返戻金を受け取った場合、本来は変更前の契約者が支払った保険料に対応する受取金は贈与税の対象となります。

しかし、支払調書は支払時点の契約内容で作成されるため、契約途中で名義変更があったことを税務署が把握できませんでした。

つまり、本来であれば、相続税や贈与税の対象となる生命保険契約が、 きちんと申告されるケースは稀だったのです。

こうしたことから、支払調書の提出範囲等が見直され、30年1月以降の契約者変更についても支払調書の対象となりました。

この改正は支払調書に関する改正であり、税金の取扱いはこれまでと何も変わりません。

契約者変更を前提に生命保険に加入する場合は、税務署に把握されていることを十分認識して正しい申告をしましょう。

(執筆:古舘)

仮想通貨取引の確定申告

個人の確定申告もいよいよ折り返し地点です。  

 

昨年は仮想通貨元年などとも言われ、注目を得たビットコイン(仮想通貨)。

国税庁が 仮想通貨で得た利益は「雑所得」(一部例外あり)と見解を示しております。

その後、具体的な所得の計算方法等についても取りまとめました。  

 

今回は一般的なサラリーマン(給与所得者)が仮想通貨で得た利益で、確定申告が必要となるケースの注意点等をまとめます。

【確定申告対象者】

①給与収入が2,000万円を超える人

②給与所得以外の所得で20万円を超える人

③2か所以上の会社から一定額の給与を得ている人

④医療費控除(年間10万円を超える医療費)

⑤寄付金控除(ふるさと納税の還付)

⑥住宅ローン控除(初めて適用を受ける場合) など  

 

①以外は給与収入の額に関係なく、申告対象者となります。

また、②以外は仮想通貨で得た利益の額に関係なく、雑所得として申告する必要があります。    

 

【所得の種類・税率】

サラリーマンが仮想通貨で利益を生じた場合は「雑所得」に該当すると考えて問題ございません。

仮想通貨の利益は給与所得などとあわせて計算され、所得に応じて5~45%の「累進税率」が適用されます。

また、仮想通貨で損失となっていても、給与所得との損益通算(相殺)は出来ません。    

 

【所得の計算方法】

サラリーマンの場合、利益が生じる多くのケースは、仮想通貨を円に交換(売却)した時と考えられます。

「売却益」=「売却額-取得価額」  

同一の仮想通貨を2回以上にわたって取得した場合の取得価額 の計算方法は、原則「移動平均法」、例外として「総平均法」と、国税庁が見解を表しています。

一度選択した方法は継続適用する、と考えたほうがいいです。

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/171127/01.pdf    

【まとめ】

給与所得者は仮想通貨で得た利益が20万円までは申告不要(非課税)、という考えの方もいるようにも感じます。

たしかに確定申告をしない場合については申告不要のルールがありますが、なにかしらの理由で確定申告する場合には仮想通貨で得た利益を雑所得として申告する必要があります。  

また、複数取引をしている場合など 「売却益」を計算することに苦労することも考えられます。

条件はありますが、売却益を自動で計算してくれる便利なサービスをしているサイトも複数あります。

ルールさえ分かればそれほど難しいことはございません。

しっかりと知識をつけて確定申告に臨みましょう。  

(執筆:渡辺)

セルフメディケーション税制

所得税の確定申告時期になりました。

 

確定申告で一番身近なものが医療費控除ではないでしょうか。

 

その医療費控除が平成29年分から大きく変わります。

 

それは、「セルフメディケーション税制」(従前の医療費控除との選択適用)が導入されたことです。

 

 この制度は、定期健康診断等の一定の取組を行っている人が、 薬局等で対象となる医薬品を年間1万2,000円を超えて購入した場合、 その超過分が所得から控除されるものです(最大8万8,000円)。

 

対象となる医薬品は30年1月22日時点で、1,676品目あります(厚生労働省HP)。 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html

 

従前の医療費控除と同様、セルフメディケーション税制についても申告の際は「明細書」の添付が必要です。

 

明細書は手書きによる作成も可能ですが、パソコンで入力できるフォーマットが、国税庁HPに公開されています。

 

確定申告書等作成コーナー → 「所得控除入力」 → 「医療費控除の入力」にて作成できます。 医薬品名のリストボックスに申告したい医薬品の名称の頭文字を入力すると、該当する薬が表示されます。

 

例えば「あ」と入力すると「あ」から始まる名称の医薬品が自動表示される仕組みです。

 

医薬品の個々の金額は自分で入力する必要がありますが、合計額や控除額は自動計算されます。

 

このフォーマットは、電子申告する場合だけではなく、紙で申告する場合も、 フォーマットに入力したものを印刷して提出することができます。

 

従前の医療費控除に比べて、セルフメディケーション税制ではより細かく記入する必要があるのでパソコンで入力したほうが楽だと 思います。

 

このほか、セルフメディケーション税制の申告の際に必要な書類等については国税庁HPを確認してください。

 

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tokushu/info-iryouhikoujo3.htm#section4

 

また、選択適用となっている従前の医療費控除とセルフメディケーション税制のどちらが有利になるか 迷った場合は、国税庁HPで公開されている「減税額の試算」(シミュレーション)を利用してみてください。

 

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tokushu/info-iryouhikoujo.htm#simulate

(執筆:古舘)

平成30年度 税制改正大綱

昨年の12月14日に「平成30年税制改正大綱」が決定されました。

 

134ページの大綱のすべてを網羅することは現実的ではないので、身近で主要な改正内容をまとめました。

 

◆中小企業における所得拡大促進税制(税額控除)の改正

 

2018年4月1日~2021年3月31日の開始事業年度が対象になります。

 

要件①(下記参照)を満たせば、給与の増加額の15%を税額控除することができます。

 

さらに、要件②を満たせば、15%→25%となります。

 

※ただし、その事業年度の法人税(所得税)の20%が上限です。

要件①

・前期の平均給与と比較して当期の平均給与が1.5%以上増加していること

【例】前期平均給与30万円、当期平均給与31万円 31万円-30万円=1万円 1万円÷30万円=約3.3%

1.5%以上となりますので税額控除の対象になります。

 

要件②

・前期の平均給与と比較して当期の平均給与が2.5%以上増加していること

・従業員の研修費等の教育訓練費の額が前期と比較して10%以上増加していること  

または、経営力向上計画の認定を受けたもので、計画に従って経営力向上が確実に行われたと証明がされたこと

※注意点

 

・設立した事業年度は税額控除を受けられません。

・平均給与の計算では比較する2年間を通して在籍している従業員の給与の額が対象です。  

途中入社や途中退社の人は平均給与の対象外となります。

 

◆給与所得控除の改正(2020年から)

 

・一律10万円の引き下げ

・上限額が適用される給与等の収入金額を850万円超に引き下げ(改正前1000万円超)

・上限額を195万円に引き下げ(改正前220万円)

※ 子育て世帯・介護世帯には負担増が生じないように措置が講じられます。

 

◆基礎控除の改正(2020年から)

 

・48万円に引き上げ(改正前38万円)

※所得金額2,400万円超から段階的に控除額を縮小し、2,500万円超でゼロになります。

 

◆青色申告特別控除の改正(2020年から)

・10万円の引き下げ(改正前65万円)

※電子申告の場合は65万円のままで引き下げはありません。

 

◆中小企業の少額減価償却資産  

 

損金算入の特例の適用期限が2年延長されます。

 

◆たばこ税の見直し  

たばこ(紙巻式・加熱式)が、2018年10月から段階的に増税されます。

 

◆国際観光旅客税の創設  

出国1回につき1,000円が課税されます。  

2019年1月7日以後の出国から適用されます。

主な改正点は以上のとおりとなります。

 

サラリーマン(特に高所得者)に対する増税がじわじわと大きくなります。

青色申告特別控除の引き下げは、少々強引なイメージです。

所得税の電子申告の普及率は2016年度で約53%と公表されています。

控除額に差をつけて、電子申告への移行を狙っているように感じました。

最後に「平成30年度税制改正大綱」全文もご紹介します。 興味のある方はご覧ください。

https://www.jimin.jp/news/policy/136400.html

(執筆:渡辺)

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

03-6907-4177

<受付時間>
9:00~11:30/12:30~18:00
※土曜・日曜・祝日は除く

フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。

ふるだて税理士・
行政書士事務所

住所

〒171-0022
東京都豊島区南池袋1-13-23
JRE南池袋ビル5階

アクセス

池袋駅東口徒歩6分

受付時間

9:00~11:30/12:30~18:00

定休日

土曜・日曜・祝日