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所得税

従業員の住民税

従業員の住民税は「特別徴収」という制度で納付するケースが一般的です。

特別徴収という制度は、会社や個人事業主である事業者(給与支払者)が、従業員に代わって住民税の手続きを行います。

 

今回は事業者が最低限知っておくべき、住民税の仕組みや手続きなどを整理します。

 

 

【住民税の特別徴収とは】

事業者(給与支払者)が従業員(納税義務者)の給与から住民税を控除し、従業員の代わりに市区町村に納付する制度です。

地方税法により事業者には、住民税を給与から控除して納付すること(特別徴収)が義務付けられています。

従業員が市区町村に納付する普通徴収という制度もありますが、特定の事情を除いて事業者や従業員が自由に選択することはできません。

 

 

【特別徴収の手続きの流れ】

・1月31日までに、給与支払報告書を提出します。

・5月31日までに、特別徴収税額決定通知書を受け取り、従業員に配布します。

・毎月の給与支払日に、特別徴収税額を従業員の給与から控除します。

・給与支払日の翌月10 日までに、給与から控除した住民税を各市区町村に納付します。

 

※給与支払報告書を正しく提出すれば、自治体が納税額を計算します。

基本的にその決定通知書に基づいて給与から住民税を控除します。

毎年6月に住民税の金額が変更となりますので注意しましょう。

 

 

【普通徴収を選択できるケース】

特定の事情がある場合に限り、普通徴収を選択することができます。

東京都の場合、次のいずれかに該当すれば普通徴収を選択できます。

・総従業員数が2人以下

・他の事業所で特別徴収を行っている

・給与が少なく税額が引けない(例:給与支払い額100万円以下等)

・給与の支払いが不定期(例:給与の支払いが毎月ではない)

・個人事業主の事業専従者

・退職者または5月末日までの退職予定者(休職等により4月1日現在で給与の支払いを受けていない人を含む)

 

※手続きは給与支払報告書を提出をする際、摘要欄に該当する事由を記載します。

認められれば、市区町村から従業員に納付書等が直接送られます。

 

 

【従業員が退職した場合の手続き】

従業員が退職した場合には、事業者は「特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を各市区町村に提出する必要があります。

この手続きは、特別徴収から普通徴収に切り替える内容となります。

手続きを怠ると、納税義務者は事業者のままですので忘れずに行ってください。

届出書の書式等は各自治体によって異なりますので、各自治体のホームページを確認すると良いでしょう。

 

※退職日が、特別徴収税額決定通知書を受け取った「翌年1月1日~5月31日」のとき

退職月の給与や退職金から、5月までの住民税を一括徴収する必要がありますのでご注意ください。

 

また、転職先が決まっているときに特別徴収を継続する手続きもありますので、従業員から相談があったときは検討も必要になります。

 

 

【まとめ】

今回は、事業者が最低限知っておくべき住民税の仕組みや手続きなどを整理しました。

住民税の特別徴収とは、事業者が従業員の給与から住民税を控除して市区町村に納付する制度で、義務付けられています。

基本的には、特別徴収税額決定通知書に基づいて行えば問題のない制度です。

 

注意する点は、下記の3つと考えられます。

・毎年6月に給与から控除する金額が変更となること

・普通徴収を選択できるケースがあること

・退職時に届出が必要になること(5月までの住民税を一括徴収する必要になることがあること)

 

事業者は事務処理の負担が増えますが、給与計算に関わりますので正しく理解して対応しましょう。

 

執筆:渡辺

2023年(令和5年)度 雇用保険料率改定

2023年(令和5年)度の雇用保険料率が改定されます。

 

• 令和5年4月から、事業主・被保険者負担の保険料率が0.1%増えます。

■ 改定前

2023年(令和5年)3月まで

事業の種類 一般事業所

農林水産業

清酒製造業

建設業
被保険者負担率 5.0/1000 6.0/10000 6.0/10000
事業主負担率 8.5/1000 9.5/1000 10.5/1000
雇用保険料率(合計) 13.5/1000 15.5/1000 16.5/1000

■ 改定後

2023年(令和5年)4月以降

事業の種類 一般事業所

農林水産業

清酒製造業

建設業
被保険者負担率 6.0/1000 7.0/10000 7.0/10000
事業主負担率 9.5/1000 10.5/1000 11.5/1000
雇用保険料率(合計) 15.5/1000 17.5/1000 18.5/1000

 

【労災保険料率について】

2023年(令和5年)度の労災保険料率は、前年(2022年)度の料率から改定はありません。

 

【まとめ】

新型コロナウイルス感染症の影響による企業の休業手当を支援する雇用調整助成金の経過措置は令和5年3月31日で終了しました。

しかし、支給決定額が6兆円を超えたことで、雇用保険財政はひっぱくしています。

そのため、今回の改定は料率を上げて財源を補うことが目的です。

給与が月額20万円の人の雇用保険料は1000円から1200円になります。

物価上昇に社会保険料の負担増・・、一日も早く経済回復して景気がよくなることを期待したいと思います。

(執筆:古舘)

インボイス制度
「相続人の事業承継」

令和5年10月1日以後にインボイス発行事業者(適格請求書発行事業者)である個人事業者が死亡し、免税事業者である相続人が相続により被相続人の事業を承継した場合、インボイス発行事業者として事業を継続するためには相続開始後4か月以内に登録申請書を提出する必要があります。

 

今回は、相続人が事業承継した場合の納税義務の判定、インボイス制度の取扱いについて説明します。

 

【納税義務の判定】

納税義務の判定は現行のとおり改正はありません。

相続によって免税事業者である相続人が被相続人の事業を承継した場合、相続人の納税義務判定は、令和5年10月1日以後も基準期間での判定となります。

 

●相続があった年

①相続があった年の基準期間における被相続人の課税売上高が1,000万円を超える場合は、相続があった日の翌日からその年の12月31日までの間、納税義務は免除されません。

 

②相続があった年の基準期間における被相続人の課税売上高が1,000万円以下である場合は、相続があった年の納税義務が免除されます。ただし、相続人がインボイス発行事業者又は課税事業者を選択している場合、納税義務は免除されません。

 

●相続があった年の翌年・翌々年

①相続があった年の翌年又は翌々年の基準期間における被相続人の課税売上高と相続人の課税売上高との合計額が1,000万円を超える場合は、相続があった年の翌年又は翌々年の納税義務は免除されません。

 

②相続があった年の翌年又は翌々年の基準期間における被相続人の課税売上高と相続人の課税売上高との合計額が1,000万円以下である場合は、相続があった年の翌年又は翌々年の納税義務が免除されます。ただし、相続人がインボイス発行事業者又は課税事業者を選択している場合、納税義務は免除されません。

 

【インボイス発行事業者の死亡届出書の提出】

個人事業者であるインボイス発行事業者が死亡した場合、相続人は速やかに「適格請求書発行事業者の死亡届出書」をインボイス発行事業者の所轄税務署長に提出する必要があります。

 

【インボイス発行事業者の登録失効】

死亡したインボイス発行事業者の登録は、インボイス発行事業者の「死亡届出書の提出日の翌日」又は「死亡した日の翌日から4か月を経過した日」のいずれか早い日に効力が失われます。ただし、相続人をインボイス発行事業者とみなす措置の適用がある場合、その措置の適用がある期間は被相続人の登録は有効となります。

 

【相続人のみなし登録期間】

インボイス発行事業者の事業を承継した相続人は、相続のあった日の翌日から、その相続人がインボイス発行事業者の登録を受けた日の前日又はその相続に係るインボイス発行事業者が死亡した日の翌日から4か月を経過した日のいずれか早い日までの期間(みなし登録期間)については、相続人がインボイス発行事業者とみなされるとともに、被相続人の登録番号が相続人の登録番号とみなされます。

 

この「みなし登録期間」は、相続があった場合の納税義務の免除の規定による判定に関わらず、相続人は課税事業者として申告を行う必要があります。

 

インボイス発行事業者の事業を相続により承継した相続人(免税事業者)は、登録申請を行わない限りみなし登録期間後からインボイスを発行できませんので、相続人の「適格請求書発行事業者の登録申請書」の提出が必要になります。

 

【まとめ】

相続により事業を承継した場合のインボイス制度の取扱いは、あまり認知されていない取扱いの1つとして紹介されていました。難しい内容ではありませんが、インボイス発行事業者の登録番号は申請から通知まで、おおむね1か月程度時間を要しますので、インボイス発行を継続したい場合は、みなし登録期間の4か月の間に忘れずに登録申請をしましょう。また、みなし登録期間中は、納税義務の免除にならない点も注意が必要になります。

 

(執筆:小林)

(参考条文:新消費税法 第10条、第57条の3)

(参考文献:週刊税務通信 税務研究会 No.3745 P2-3)

インボイス制度「2割特例」

インボイス制度「2割特例」

 

すでに令和5年度税制改正大綱により周知されていますが、インボイス制度の負担軽減措置「2割特例」は個人的にインパクト大でした。
今回はこのインボイス制度の「2割特例」について、掘り下げてご説明します。
 

 

【対象事業者】
免税事業者からインボイス発行事業者に登録した場合
つまり、インボイス制度前は免税事業者であったが、インボイス制度後に課税事業者(インボイス事業者)になったという場合になります。
 
 
【対象期間】
令和5年10月1日~令和8年9月30日を含む課税期間
※個人事業者は、令和5年10~12月の申告から令和8年分の申告まで対象です
 

 

【事例計算】
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(出所)財務省「インボイス制度の改正案について」
 
消費税の計算方法は本則課税(実額計算)・簡易課税の2つあります。
これに加え、売上に対する消費税額の2割に軽減することができるようになります。


【手続き】
2割特例を受けるための手続きは不要です。
消費税申告書に2割特例の適用を受ける旨を付記するだけになります。

 
一方で、簡易課税の選択は届出が必要です。
実際のスキームとして、まずは消費税計算方法の有利判定(本則課税・簡易課税)を事前に行います。
必要であれば届出を提出します。

 
申告書作成時には選択した計算方法に基づき消費税を計算します。
その税額と2割特例の税額を比較して、必要であれば適用を受ける旨を付記します。
 
【まとめ】
一部の業界団体などからインボイス制度導入の反対声明が発表され、政府は負担軽減措置に踏み切ったと思われます。
この負担軽減措置は、消費税の計算方法・手続きがとてもシンプルで、フリーランスの方などにとっては朗報だろうなと感じました。


注意すべき点は、今回の2割特例はあくまで期限付きの経過措置であり、年後を見据える必要があるということです。
「本則課税(実額計算)」「簡易課税」「2割特例」の3つの税額負担のシミュレーション、3年後の税負担の増加見込みの検討が必要になるかもしれません。
また、業種によっては「免税事業者のまま」という選択肢もあり得ます。


結局はインボイス制度に向けて正しい理解を深めること、準備を進めることが大切と言えそうです。
 
執筆:渡辺

帳簿の提出がない場合の加算税の加重措置

売上に関する帳簿を作成・保存していない場合、加算税(罰金)が重くなります。

【概要】

帳簿を作成・保存する義務のある事業者について、売上げに関する帳簿を保存していない、帳簿の売上げの記載が不十分であったことが税務調査において把握された場合には、帳簿に記載すべき事項に関する申告漏れ等に対して通常課される加算税(過少申告加算税・無申告加算税)の割合が最大10%加重されるようになりました。

 

① 帳簿の提示をしなかった場合

⇒ 過少申告加算税等の割合が 10%加重されます。

 

② 帳簿への売上⾦額の記載が、本来記載をすべき⾦額の2分の1未満だった場合

⇒ 過少申告加算税等の割合が 10%加重されます。

 

③ 帳簿への売上⾦額の記載が、本来記載をすべき⾦額の3分の2未満だった場合(②に該当する場合を除きます。)

⇒ 過少申告加算税等の割合が5%加重されます。

 

《例》

税務調査において提示がされた帳簿について、本来記載をすべき売上⾦額が 2,000 万円であったにもかかわらず、実際には 800 万円しか記載せず、1,200万円の申告漏れが生じていた場合。

上記②(本来記載等をすべき⾦額の2分の1未満だった場合)に該当

申告漏れとなっていた 1,200 万円に対して新たに納める必要のある所得税額を基礎として課される過少申告加算税の割合が 10%加重されます。

 

【対象となる事業者】

●事業所得、不動産所得、山林所得を生ずべき業務を行う、個人事業者

●法人

●消費税の課税事業者

 

【対象となる帳簿】

●仕訳帳・総勘定元帳の売上(収入)の金額に関する部分

●売上帳・現金出納帳などの売上(収入)の金額が確認できる帳簿

 

【適用時期】

令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する申告所得税、法人税・地⽅法人税、消費税について適⽤されます。

 したがって、各税目においては、それぞれ以下のとおり適⽤される場面が生じ得ることとなります。

● 申告所得税・・・令和5年分から適⽤。

● 法人税・地⽅法人税・・・令和5年 10 月決算期分(例えば、3月決算法人の場合には令和6年3月決算期分)から適⽤。

● 消費税・・・課税期間が1年間の場合には、申告所得税、法人税・地⽅法人税と同様。課税期間の特例を適⽤している場合には、令和5年 10 月以降に課税期間が終了するものから適⽤

 

【帳簿の不提示・不提出】

帳簿は納税地において保存する必要があります。

税務職員から帳簿の提示等を求められた場合に遅滞なく提示等をしなかった場合には加算税が加重されます。

なお、税務調査においては、事前に調査の対象となる帳簿について通知してあります。

調査を開始する日時までに帳簿を遅滞なく提示等ができるように準備してあれば、「売上げ(業務に係る収入を含みます。)に関する調査に必要な帳簿」の提示等をしなかった場合に該当して加算税が加重されることはありません。

また、事前の通知を⾏うことなく実地の調査を実施する場合であっても、臨場後速やかに調査の対象となる帳簿等を説明することとしており、そもそも帳簿は納税地において保存する必要があることから、税務職員から説明を受けた後、保存している帳簿について遅滞なく提示等がされないときは加算税が加重されます。

 

【まとめ】

間違いではなく、売り上げを除外するなど悪質な場合のペナルティを加重するための制度です。

余計な罰金を払わないように正しい申告をしましょう。

(執筆:古舘)

 

令和5年度税制改正大綱

令和4年12月16日に公表された令和5年度税制改正大綱が令和4年12月23日に閣議決定されました。
公表された案から変更なく決定されましたが、細かい内容等の調整は施行までの間に行われます。

今回は、令和5年度税制改正大綱についてまとめました。

 

【個人所得課税】 

 

◆NISA制度の抜本的拡充・恒久化 

・非課税保有期間を無期限化するとともに、口座開設可能期間については期限を設けず、NISA制度を恒久的な措置とする。 

 

・一定の投資信託を対象とする長期・積立・分散投資の年間投資上限額(「つみたて投資枠」)については、120 万円に拡充する。 

 

・上場株式への投資が可能な現行の一般NISAの役割を引き継ぐ「成長投資枠」を設けることとし、「成長投資枠」の年間投資上限額については、240 万円に拡充するとともに、「つみたて投資枠」との併用を可能とする。 

 

・一生涯にわたる非課税限度額を新たに設定した上で、1,800 万円とし、「成長投資枠」については、その内数として 1,200 万円とする。 

 

 

適用時期:令和6年1月1日から適用。 

 

◆ スタートアップへの再投資に係る非課税措置の創設 

・保有株式の譲渡益を元手に、創業者が創業した場合やエンジェル投資家がプレシード・シード期のスタートアップへの再投資を行った場合に、再投資分につき20億円を上限として株式譲渡益に課税しない制度を創設する。 

 

・スタートアップへの再投資に係る非課税措置及び課税繰延べについては、創業者は事業実態が認められれば適用が受けられるようにするほか、プレシード・シード期のスタートアップに係る外部資本要件を 1/6以上から 1/20以上に引き下げるなど、要件の緩和を行う。 

 

◆ 極めて高い水準の所得に対する負担の適正化 

・その年分の基準所得金額から3億3,000万円を控除した金額に22.5%の税率を乗じた金額が、その年分の基準所得税額を超える場合には、その超える金額に相当する所得税を課する措置を講じる。

適用時期:令和7年分以後の所得税について適用。

 

◆個人事業者の開業・廃業等届出の簡素化

・個人事業の開業・廃業等届出書について、その提出期限をその事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限とするとともに、事務所等を移転する場合のその提出先を納税地の所轄税務署長とするほか、記載事項の簡素化を行う。

適用時期:令和8年1月1日以降より適用

 

・青色申告書による申告をやめる旨の届出書について、その提出期限をその申告をやめようとする年分の確定申告期限とするとともに、記載事項の簡素化を行う。

適用時期:令和8年分以後の所得税について適用

 

・次に掲げる届出書等について、記載事項の簡素化を行う。

①納期の特例に関する承認の申請書

②青色申告承認申請書及び青色専従者給与に関する届出書

③給与等の支払をする事務所の開設等の届出書

適用時期:令和9年1月以降より適用。

 

【資産課税】 

 

◆ 資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築等

・相続時精算課税制度について、相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、現行の基礎控除とは別途、課税価格から基礎控除110万円を控除できることとするほか、相続時精算課税で受贈した土地・建物が災害により一定以上の被害を受けた場合、相続時にその課税価格を再計算する見直しを行う。

適用時期:令和6年1月1日以後に発生する災害により被害を受ける場合に適用。

 

・暦年課税における相続前贈与の加算期間を7年に延長するほか、延長した期間(4年間)に受けた贈与のうち一定額(100万円)については、相続財産に加算しないこととする見直しを行う。 

適用時期:令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る 相続税について適用。

 

・教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置については、節税的な利用につながらないよう所要の見直しを行った上で、適用期限を3年延長する。 

 

・結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置についても、節税的な利用につながらないよう所要の見直しを行った上で、適用期限を2年延長する。

 

【法人課税】 

 

◆研究開発税制の見直し 

・控除率カーブの見直し及び控除率の下限の引下げ(現行:2%→1%)を行うとともに、試験研究費の増減割合に応じて税額控除の上限を変動させる制度(現行:25%→20%~30%)を設ける。 

 

・試験研究費のうち新たなサービスの開発に係る一定の費用について、既に有する大量の情報を用いる場合についても対象とするほか、所要の見直しを行う。 

適用時期:令和5年4月1日~令和8年3月31日

 

◆企業による先導的人材投資に係る税制措置 

・法人が大学、高等専門学校又は一定の専門学校を設置する学校法人の設立を目的とする法人に対して支出する寄附金であって、その設立のための費用に充てられるものを指定寄附金とする。 

 

・特別試験研究費の対象費用に、博士号取得者又は一定の研究業務の経験を有する者に対する人件費を追加し、税額控除率を 20%とする。 

 

◆オープンイノベーション促進税制の見直し 

・発行法人以外の者から購入により取得した株式でその取得により総株主の議決権の過半数を有することとなるものを、税制の対象となる特定株式に加える。 

 

 

【消費課税】 

 

◆適格請求書等保存方式の円滑な実施に向けた所要の措置 

・これまで免税事業者であった者がインボイス発行事業者になった場合の納税額を売上税額の2割に軽減する3年間の負担軽減措置を講ずる。

 

対象事業者:免税事業者が適格請求書発行事業者になった場合、課税事業者選択届出書を提出して課税事業者になっている場合など、基準期間の課税売上高が1000万円以下であるインボイス発行事業者。

適用時期:令和5年10月1日~令和8年9月30日

 

・一定規模以下の事業者の行う少額の取引(対価1万円未満)につき、帳簿のみで仕入税額控除を可能とする6年間の事務負担軽減策を講ずるほか、少額の返還インボイスについて交付義務を免除する措置を講ずる。

 

対象事業者:基準期間における課税売上高が1億円以下、または、特定期間における課税売上高が5000万円以下の事業者

適用時期:令和5年10月1日から令和11年9月30日

 

◆承認酒類製造者に対する酒税の税率の特例措置の創設 

・酒税の保全のために酒類業の健全な発達に資する取組を適正かつ確実に行うことについて承認を受けた酒類製造者に係る一定の酒類について、製造規模に応じて酒税を軽減する措置を講ずる。あわせて、現行の酒税の特例措置は廃止し、新たな特例措置への移行に伴う激変緩和のための経過措置を講ずる。 

 

◆車体課税

・自動車重量税のエコカー減税について、異例の措置として現行制度を令和5年末まで据え置くほか、据置期間後は、制度の対象となる 2030基準達成度の下限を3年間で段階的に 80%まで引き上げる等の所要の措置を講ずる。 

 

・自動車税・軽自動車税の環境性能割について、異例の措置として現行の税率区分を令和5年末まで据え置くとともに、3年間で段階的に引き上げる。 

 

・自動車税・軽自動車税の種別割におけるグリーン化特例について、3年間延長する。 

 

・メーカーの不正行為によって自動車税環境性能割等の納付不足額が発生した場合の特例について、納付不足額を徴収する際に加算する割合(現行:10%)を35%に引き上げる。 

 

【国際課税】 

 

◆グローバル・ミニマム課税への対応 

・グローバル・ミニマム課税について、所得合算ルールに係る法制化を行うため、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税(仮称)及び特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)を創設する。その際、法人税による税額と地方法人税による税額が 907:93 の比率となるよう制度を措置するとともに、対象企業の事務手続きの簡素化に資する措置を導入する。 

 

・外国子会社合算税制について、特定外国関係会社の適用免除要件である租税負担割合の閾値引下げ等の見直しを行う。

適用時期:令和6年4月1日以後に開始する会計年度より適用。

 

【納税環境整備】 

 

◆電子帳簿等保存制度の見直し 

・電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度については、電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存をすることができなかったことにつき相当の理由がある事業者等に対する新たな猶予措置を講ずるとともに、検索機能の確保の要件について緩和措置を講ずる。

→令和4年1月~令和5年12月までの期間は、税務署長がやむを得ない事情があると認め、税務調査等の際に整然かつ明瞭な状態の書面提示が可能であれば、書面保存が可能でしたが、電子保管対応できないことに相当の理由があり、データのダウンロードに応じることができるようにすると、実質書面保存が可能となる。

適用時期:令和6年1月1日以後に行う電子取引から適用。

 

・過少申告加算税の軽減措置の対象となる優良な電子帳簿について、その範囲を合理化・明確化する。具体的には、仕訳帳、総勘定元帳、手形記入帳、売掛帳(その他債権に関する事項も含む)、買掛帳(その他債務に関する事項も含む)、有価証券受払簿、固定資産台帳、繰延資産台帳、売上帳、経費帳(法人税は給与、法定福利費及び厚生費除く)。

適用時期:令和6年1月1日以降から適用。

 

◆課税・徴収関係の整備・適正化 

 

・申告義務を認識していなかったとは言い難い高額な無申告に対し、無申告加算税の割合を引き上げる。

→納付すべき税額が300万円を超える場合は、超える部分の無申告加算税の割合を30%に引き上げとなる。また、更正の予知がない場合の期限後申告等については、300万円を超える部分の無申告加算税の割合を25%に引き上げとなる。

適用時期:令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税から適用。

 

・連年にわたって繰り返し無申告加算税等を課される者が行う更なる無申告に課される無申告加算税等を加重する措置を講ずる。

→3回連続で期限後申告が行われる場合には、無申告加算税を10%加重する措置となる。

適用時期:令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税から適用。

 

【関税】 

 

◆暫定税率等の適用期限の延長等 

・令和4年度末に適用期限の到来する暫定税率(412 品目)の適用期限を1年延長する等の措置を講ずる。

 

◆急増する輸入貨物への対応 

・輸入申告項目に「通販貨物の該否」及び「国内配送先」等を追加する。 

 

・税関事務管理人制度について、非居住者による届出がない場合、税関長が国内関連者を税関事務管理人として指定できる等の規定の整備を行う。

 

参考文献:税制改正の大綱https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2023/20221223taikou.pdf

税制改正の大綱の概要https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2023/05taikou_gaiyou.pdf

 

 

【まとめ】

今回は、令和5年税制改正についてまとめました。
今後、細かい内容の修正・追加が行われますが、注目している税制改正は、『スタートアップへの再投資に係る非課税措置の創設』『極めて高い水準の所得に対する負担の適正化』『インボイス制度の負担軽減措置(一定の中小事業者の対価1万円未満の課税仕入のインボイス保存)』です。

現行の消費税の仕入税額控除の要件として対価3万円未満の取引は帳簿の記載のみで可能ですが、インボイス制度が始まると特定の取引を除き、3万円未満の取引もインボイスの保管が必要になります。

インボイス制度の負担軽減措置の中小事業者の対価1万円未満の課税仕入のインボイス保存不要は、今後対価1万円未満のままか、もしくは3万円未満に調整されるのか注目してます。

 

(文章:小林)

 

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9:00~11:30/12:30~18:00

定休日

土曜・日曜・祝日